離婚の心構え

正しい知識を身につけよう

現在,日本で1年間に離婚する夫婦は約25万組だと言われています。
これまで離婚に消極的だといわれていた50代以上の,第2の人生を送るための熟年離婚も増えています。
もはや離婚は珍しいことではなく,結婚や離婚に対する考え方や価値観も,時代とともに変化しています。
言いかえれば,離婚はいつ自分の身にふりかかってもおかしくない問題のひとつになったのです。

しかし,実際に離婚問題に直面するとなると,思うように進まない場合がほとんどです。精神的な打撃や仕事やお金の問題,子供のこと,将来の不安など,さまざまな問題が立ちはだかり,身動きがとれなくなってしまうのです。

離婚するにあたり,大きな障害となる問題は2つです。
1つ目は財産分与慰謝料などのお金の問題。
2つ目は,子供の問題
どちらが子供を引き取るか,親権者になるか,養育費はどうするかについても含まれます。

裏を返せば,この2つが解決すれば,離婚問題はスムーズに進むといっても過言ではないでしょう。
「親権者の決定」「子の監護者の決定」「財産分与」「慰謝料」「子供の養育費」など,離婚に際して取り決めなくてはならないことはいろいろあります。
難しいことかもしれませんが,離婚の兆候を感じたら,これらの問題について正しい知識を身につけ,心の準備をしておくことをおすすめします。
離婚を切り出されてから,初めてこの問題について考え始めるようでは遅いのです。

離婚を切り出されたら?

「夫からいきなり離婚を要求された」 そんなときに,まずしなければならないことはなんでしょうか。
とにかく感情的にならず,冷静になって,落ち着いて対処することです。

【離婚に同意するとき】

離婚することに異論がなければ,お金や子供についての条件を話し合うことになります。

【離婚に同意したくないとき】

裁判上の離婚原因がない限り,一方的に離婚させられることはありません。
もし少しでも迷っているならば,すぐに離婚届にサインしないことが重要です。

離婚には,相当な勇気と覚悟と決断が必要です。
実際に離婚にいたるまでの時間や費用などの負担,精神的なストレスは,想像以上のものだと考えておいた方がよいでしょう。
たとえ離婚に同意したとしても,その後の生活のビジョンが見えていなければ,幸福な人生を歩むことはできません。もしもあなたが専業主婦ならばなおさらです。
離婚によって影響を受ける子供についても,仕事や経済面についても,しっかり考えておかなくてはなりません。

決して後々後悔することのないよう,かつ相手に有利な条件で進められないようにするために,それ相応の離婚に関する知識を貯えておく必要があるでしょう。
インターネットや本でもある程度は調べることができますが,少しでも不安を感じたり,疑問点が出てきたりした場合には,気軽に弁護士に相談することをおすすめします。

離婚届の不受理申出

まずは 離婚届を出させない

いきなり相手から離婚を切り出されたら,どうしたらいいでしょうか。
突然のことに,パニックになってしまったり,感情的になってしまう気持ちはわかりますが,ここは落ち着いて乗り越えていかなくてはなりません。離婚するにしろ,離婚しないにしろ,今後の人生を左右する重要な決断となるのです。

しかし,相手が離婚を急いでいたり,何らかの事情がある場合,勝手に離婚届を作成し,届けを出してしまわないとは限りません。
そのような行為を防ぎ,落ち着いて話し合いを進めるためにも,まずは「離婚届不受理申出書」を提出することをおすすめします。

離婚届の不受理申出とは?

協議離婚は離婚届出により成立します。
市区町村長は,戸籍届の受理に際して形式的な審査しかできないため,記入ミスや提出書類に不備がなければ,相手が勝手に届を出したとしても一応受理されてしまいます。
離婚届が提出されてしまったあとで,離婚の無効を争うこともできますが,大変な手間と労力がかかり,簡単なことではありません。
これを防ぐためにも,まずは「離婚届不受理申出書」を提出しておくことが重要です。 これは,役所に「離婚届を受けつけないでください」と申し出るためのものです。
この届け出をしておくと,相手が勝手に離婚届を作成して提出しようとしても,役所が受理しないようになっています。

離婚の話し合いというのは,なかなか冷静でいられないものです。
なかにはパニックに陥ってしまったり,顔を合わせることすら拒否してしまう場合もあります。
そんななかで,いつ勝手に離婚されてしまうかもわからない,不安定な状態でいるよりも,「不受理申出書」を提出し,少しでも精神的に落ち着いた状態で話し合いを進めることが望ましいといえるでしょう。

不受理申出の効力は?

不受理の期間は,無期限です。以前は,不受理申出書の効力には6ヶ月という期間が定められていました。その場合,心配な場合は6カ月の期間が経過する前に,再度申し出を行う必要がありました。

しかし,戸籍法が一部改正され,平成20年5月1日以降に申出をしたものについては,期間が無期限となりました。そして,この改正に伴い,不受理申し出を取り下げたい場合には,別途,「取下書」を提出することになりました。

離婚の手続き

どうすれば離婚できるの?

離婚には,「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」の4つの方法が認められています。
いくら離婚したいからといってもいきなり離婚裁判ができるわけではなく,できるだけ話し合いで解決するように,まずは調停の手続きをとることになっています。

審判は,調停が成立しない場合に家庭裁判所が相当と判断すれば,離婚の審判を下すことができるというものです。しかし,実例はほとんどありません。そこで最近では,審判離婚をはずした,「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの方法が一般的な離婚の方法となっています。

いずれにせよ,所与の前提として協議離婚がありますから,それでもまとまらなければ,協議→調停→裁判という流れで進んでいくことになります。

離婚の種類

【協議離婚】
当事者の話し合いのうえで合意し,離婚する方法です。
日本における離婚の約90%が協議離婚による離婚だといわれています。
お互いが合意できれば,離婚の原因や責任を問わずに,離婚届を提出するだけで離婚が成立するため,最も時間や費用がかからない方法です。
この場合,離婚届の承認欄に承認となる成人2名の署名・押印が必要です。
ここで合意した内容については強制力を持たせるため,公証人役場で公正証書を作成しておくことが大切です。

【調停離婚】
協議離婚により離婚が成立しなかったときなどに,家庭裁判所に申し立てをして,調停委員を介して離婚を成立させる方法です。
こちらも当事者同士の合意があればよいので,法定の離婚原因がなくても離婚ができます。

【裁判離婚】
家庭裁判所の調停でも離婚ができなかったときに,夫婦どちらかが地方裁判所に離婚の訴訟を起こし,最終的に裁判官に離婚の判断をしてもらう方法です。
離婚を認める判決が得られた場合に離婚が成立します。
これは一方的に離婚を認めるものですから,法定の離婚原因がある場合に限って認められます。
判決に納得がいかない場合には,高等裁判所→最高裁判所へと争うこともできます。

いずれにせよ,親権,監護権などの子供に関する問題,財産分与,慰謝料,養育費などのお金の問題なども決めなくてはなりません。
事前にしっかり予備知識を得て,冷静に進めていくことが大切です。

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